日本には古くから、季節の移り変わりを知らせる「二十四節気(にじゅうしせっき)」があります。
これらは農作業の目安として用いられ、日常生活にも深く根付いてきました。
しかし、現代のカレンダー(新暦)と旧暦の違いにより、実際の季節感とは少しズレがあるのも事実です。
そこで二十四節気の意味や由来、2025年の日程について詳しく説明します。
二十四節気とはなに?
「二十四節気」は「にじゅうしせっき」と読みます。
二十四節気は、太陽の動きを基準にして1年を24の季節に分けた暦のことです。古代中国で生まれ、日本にも伝わりました。
主に農業の目安や季節の移り変わりを知るために活用されてきました。
二十四節気は、春・夏・秋・冬の4つの季節に分かれ、さらに季節ごとにそれぞれ6つに分けたのが「節気(せっき)」です。
現代でも、立春や冬至といった私たちになじみがあるものもありますね。
二十四節気は紀元前の中国・戦国時代に作られたとされ、当時の農耕に役立てられていました。
その後、日本には奈良時代に伝わり、江戸時代に広く普及しました。
現代の私たちが使っている暦は天文学的計算に基づいて設定されています。
しかし、昔の人々は経験則や観測をもとに季節を分類し、農業や行事に活かしていました。
二十四節気の意味
前述の説明のとおり、二十四節気は大きく四季(春・夏・秋・冬)に分け、それぞれの季節を更に6つに分けたのが「節気」です。
そして、二十四節気は春の「立春」からはじまります。
それぞれの節気を下記に一覧で説明します。
春(2月~4月頃)
- 立春(りっしゅん)「春の始まり」— 2月4日頃
- まだ寒さは残るが、日差しが少しずつ春らしくなる
- 梅のつぼみがふくらみ始める
- 「寒明け」となり、暦の上では冬が終わる
- 節分の豆まきが行われる時期
- 雨水(うすい)「雪が雨に変わる」— 2月19日頃
- 寒さが和らぎ、降るものが雪から雨に変わる
- 田畑の土が緩み始め、農作業の準備が始まる
- 梅・福寿草・菜の花などの春の花が咲き始める
- 東日本ではまだ寒いが、西日本では春の兆しが感じられる
- 花粉症が本格化する時期ですね
- 啓蟄(けいちつ)「虫が土から出てくる」— 3月5日頃
- 気温が上がり、冬眠していた虫が活動を始める
- 地面が温まり、ミミズやカエルも動き出す
- 春一番が吹き、風が強くなることが多い
- 農作業が本格的にスタートする時期
- 春分(しゅんぶん)「昼と夜の長さがほぼ同じ」— 3月20日頃
- 春のお彼岸でぼたもちを食べる風習がありますね
- 桜の開花が始まる(東京では3月下旬ごろ)
- 冬と春がはっきりと入れ替わる
- 「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように寒さが和らぐ
- 花粉症のピークが始まります
- 清明(せいめい)「草木が芽吹き、清らかになる」— 4月4日頃
- 万物が生き生きと成長する
- 桜・チューリップ・タンポポといった春の花々が咲き乱れる
- 空気が澄んで、気持ちのよい季節
- 新入学・入社シーズンが訪れる
- 穀雨(こくう)「春の雨が穀物を潤す」— 4月20日頃
- 穀物の成長に適した雨が降る
- 田植えや種まきの準備が本格化
- 「春の長雨」とも呼ばれ、湿度が上がる
- ツバメが飛来し、カエルの鳴き声が聞こえ始める
夏(5月~7月頃)
- 立夏(りっか)「夏の始まり」— 5月5日頃
- 風が爽やかで、新緑がまぶしくなる
- 田植えの準備が始まり、カエルの鳴き声が聞こえ始める
- こいのぼりが空を泳ぎ、端午の節句「こどもの日」が祝われる
- 朝晩は涼しいが、昼間は汗ばむ日も増えてくる
- 小満(しょうまん)「万物が成長し満ち始める」— 5月21日頃
- 草木がぐんぐん成長し、生命力が満ちる時期
- 麦畑が黄金色に染まり、麦の収穫が始まる
- 気温が高くなり、夏服への衣替えを考える頃
- 田植えが本格化し、稲作が始まる準備期間
- 芒種(ぼうしゅ)「稲や麦の種まき時期」— 6月6日頃
- 稲や麦など、芒(のぎ:イネ科の植物の穂先のトゲ)のある穀物の種をまく時期
- 梅雨入り前の貴重な晴れ間が広がることが多い
- カタツムリやホタルが見られるようになる
- 農家にとっては「農繁期」となり、忙しくなる時期
- 夏至(げし)「一年で最も昼が長い日」— 6月21日頃
- 二十四節気の中でも超有名な節気ですね
- 日の出が早く、日の入りも遅くなる
- 田んぼの苗がしっかり根付き、成長が進む
- ちょうど梅雨の最中で、雨が多くじめじめした日が続く
- 関西では「タコを食べる」という風習があり、タコの足のように苗が根付くことを願います
- 小暑(しょうしょ)「暑さが増し、梅雨明けが近い」— 7月7日頃
- 暑さが本格的になり、いよいよ夏到来
- 七夕(7月7日)があり、夜空に願いを込める
- セミの鳴き声が増え、夏らしい音風景が広がる
- 全国的に海開きが始まる頃
- 大暑(たいしょ)「一年で最も暑い時期」— 7月23日頃
- 猛暑日が続き、熱中症のリスクが高まる
- 夏祭りや花火大会が全国で開催される
- うなぎを食べる「土用の丑の日」がある
- 台風が発生しやすく、局地的な豪雨が増える
秋(8月~10月頃)
- 立秋(りっしゅう)「暦の上では秋の始まり」— 8月7日頃
- 暦の上では秋が始まるが、まだまだ暑い
- 夏の終わりを告げる「送り火」や「盆踊り」が行われ、京都の五山の送り火はあまりに有名
- 稲が実り始め、農家にとっては収穫準備の時期
- 台風の影響を受けやすい時期でもある
- 処暑(しょしょ)「暑さが少し和らぐ」— 8月23日頃
- 猛暑が落ち着き、秋の気配が感じられるはずですが、近年はそんな気配はありませんね
- 朝晩は涼しくなり、秋風が吹き始める
- 台風が多く発生し、大雨に注意が必要
- 夏休みが終わり、学校が再開する時期
- 白露(はくろ)「朝露が降り始める」— 9月8日頃
- 夜の気温が下がり、草花に朝露がつくようになる
- コオロギや鈴虫などの秋の虫の鳴き声が増える
- 秋の収穫シーズンが本格化する
- 秋分(しゅうぶん)「昼と夜の長さがほぼ同じ」— 9月23日頃
- 秋のお彼岸でおはぎを食べます
- 紅葉が進み、山が色づき始める
- 台風のピークが過ぎ、爽やかな秋晴れの日が増える
- 寒露(かんろ)「冷たい露が降りる」— 10月8日頃
- 朝晩の気温がさらに下がる
- 稲刈りが最盛期を迎える
- 山々が本格的に紅葉し始める
- 霜降(そうこう)「霜が降り始める」— 10月23日頃
- 文字通り霜が降り始める時期で朝の冷え込みが強くなり、霜が降ることも
- 秋の深まりを感じる季節
- 木の葉が落ち始め、冬の準備が始まる
冬(11月~1月頃)
- 立冬(りっとう)「冬の始まり」— 11月7日頃
- 冬の気配を感じる時期
- 暖房器具を使い始める家庭も増える
- こたつや鍋料理が恋しくなる
- 小雪(しょうせつ)「わずかに雪が降る」— 11月22日頃
- 北国では初雪が降る頃
- 冬の足音が近づき、木々がすっかり葉を落とす
- 大雪(たいせつ)「本格的に雪が降る」— 12月7日頃
- 日本海側では大雪となる地域も
- 冬至に向かって寒さが厳しくなる
- 冬至(とうじ)「一年で最も夜が長い」— 12月21日頃
- 夏至と並んで有名な節気ですね
- 柚子湯に入る風習
- かぼちゃを食べることで風邪予防
- 小寒(しょうかん)「寒の入り」— 1月5日頃
- 本格的な冬が始まる
- 受験生にとっては追い込みの時期
- 大寒(だいかん)「一年で最も寒い」— 1月20日頃
- よく二ユースで「今日は大寒です」と紹介される節気
- 寒稽古や味噌作りが行われる
- 寒さのピーク
2025年の二十四節気のカレンダー
2025年の二十四節気の日程を下記のとおり一覧表にまとめました。
節気 | 2025年の日付 |
---|---|
立春 | 2月3日 |
雨水 | 2月18日 |
啓蟄 | 3月5日 |
春分 | 3月20日 |
清明 | 4月4日 |
穀雨 | 4月20日 |
立夏 | 5月5日 |
小満 | 5月21日 |
芒種 | 6月6日 |
夏至 | 6月21日 |
小暑 | 7月7日 |
大暑 | 7月23日 |
立秋 | 8月7日 |
処暑 | 8月23日 |
白露 | 9月7日 |
秋分 | 9月23日 |
寒露 | 10月8日 |
霜降 | 10月24日 |
立冬 | 11月8日 |
小雪 | 11月22日 |
大雪 | 12月7日 |
冬至 | 12月21日 |
小寒 | 1月5日 |
大寒 | 1月20日 |
以上で二十四節気ついて説明しましたが、正直言って今の季節感と1ヶ月ほどのズレがありますね。
これは私達が使っている現在の暦(太陽暦)と昔の暦である旧暦(太陰暦)の差もあります。
また、長い年月を経て日本の季節にズレが生じて来たことや、
地球温暖化で地球全体で暖かい(暑い)時期と寒い時期が極端になり、
春と秋が短くなってきたことも関係すると思います。
そういったズレは仕方のないことなのですが、
昔の日本人が大切にしてきた「季節感」も私達も大切にしていきたいですね。